飲食店許可申請

飲食店営業許可の取得|申請手続きから設備要件まで完全ガイド

レストランや食堂などの飲食店営業(設備を設け食品を調理し客に飲食させる営業)を開業するには、営業所の所在地を管轄する保健所(食品衛生課)に対し、飲食店営業許可の申請手続きを行います。2025年現在、食品衛生法の改正により、HACCPに沿った衛生管理の実施も義務化されています。

飲食店営業許可が必要な業態

営業許可が必要な場合

  • 一般的な飲食店:レストラン、食堂、居酒屋、カフェ、バー、スナック等
  • 調理を伴う行為:レトルト食品を電子レンジで加熱する行為
  • 盛り付け行為:お菓子や乾きものを袋から出してお皿に盛りつける行為
  • 飲料の提供:ノンアルコールを含むジュース類をグラスに注ぐ行為
  • 自動販売機:紙コップ式で店内飲食を伴う場合

営業許可が不要な場合

  • 開封されていないジュース類や袋・箱入りのお菓子の販売のみ
  • 缶・ペットボトルのジュースの自動販売機
  • 調理を一切行わない物販のみの営業

申請者の欠格事由

個人営業の場合は事業主が、法人の場合は業務を行う役員が、下記のいずれかに該当する場合は営業許可を受けることができません。

  • 食品衛生法または同法に基づく処分に違反して刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して2年を経過しない者
  • 食品衛生法第54条から第56条までの規定により許可を取り消され、その取消しの日から起算して2年を経過しない者
  • 法人であって、その業務を行う役員のうちに上記のいずれかに該当する者があるもの

重要な注意事項

  • 法人の場合、役員のうち一人でも欠格事由に該当する者がいると許可が取れません
  • 必ず「食品衛生責任者」を置かなければなりません
  • 深夜酒類提供飲食店営業(スナック、バー等)も飲食店営業許可が必要です
  • 2021年6月以降、HACCPに沿った衛生管理が義務化されています

営業許可の有効期限

都道府県知事は、第一項の許可に5年を下らない有効期間その他の必要な条件を付けることができるとあり、飲食店営業許可には原則として、5年以上の期限が付与されています。

申請種別 有効期限 備考
新規申請 6年間 多くの自治体で採用
更新申請 7年間 更新時は期間が延長される場合が多い

※許可の有効期限満了後も営業を継続する場合は、期限が満了する前に更新手続きが必要です。

飲食店営業許可の設備要件

飲食店営業許可の取得に必要な営業所内の設備要件は下記のとおりです。許可申請後、保健所の検査担当者が営業所の現場検査を行い、設備要件に適合しているかを実際に確認します。

調理場内の設備要件

  • シンク(流し台)が2槽あること
    ※シンクが1槽でも「自動食器洗い機」があると2槽とみなされます
  • 2槽あるシンクには、それぞれ給水栓(蛇口)が独立して設置されていること
    ※どちらか一方のシンクの給水栓(蛇口)から必ずお湯が出ること
    これは、お皿やグラスなどの食器類をお湯で洗浄消毒するために必要となります
  • シンクとは別に、手洗い用消毒設備(手洗い用流し台)があること
    ※外径サイズが縦28cm×横36cm以上あること
    ※固定式の消毒液ボトル(ハンドソープ入れ)が付いていること
  • 調理場の入口に扉(ドア)が付いていること
    ※腰ぐらいの高さのウエスタン式のスイング扉でも可
  • お皿やグラスを収納する食器棚があり、それには扉が付いていること
  • 冷蔵庫と調理場内に温度計を設置すること
  • 天井の給水パイプや換気パイプが剥き出しになっていないこと
  • 床の材質に耐水性、排水性があり、掃除しやすい構造であること

客室・トイレ内の設備要件

  • 客室又はトイレスペース内に手洗い用消毒設備(手洗い用流し台)があること
    ※外径サイズが縦28cm×横36cm以上あること
    ※固定式の消毒薬ボトル(ハンドソープ入れ)が付いていること
  • トイレ(便器)スペースと手洗い用消毒設備(手洗い用流し台)スペースが隣接している場合は、壁で仕切ること
    【都道府県によってはこのような規定もあります】

許可申請に必要な書類

必要書類一覧

  • 営業許可申請書(様式書類)
  • 営業設備の大要(様式書類)
  • 営業設備の配置図(営業所の平面図、周辺地図)
  • 食品衛生責任者の資格を証明するもの
    (食品衛生責任者資格者証、調理師免許など)
  • 法人登記事項証明書(申請者が法人の場合)
  • 水質検査成績書(東京都の場合)
    ※大きさが10トン以下の貯水槽を使用する場合又は井戸水を使用する場合で、1年以内に発行されたもの
  • 検便検査の成績書(埼玉県、千葉県の場合)

※その他都道府県により要件の違う場合があるのでお問い合わせください

申請手続きのスケジュール

1

事前相談(1〜2週間前)

管轄の保健所(食品衛生課)にて、設備要件、必要書類等についての事前相談

2

申請書類の提出

書類、添付資料を揃え、「飲食店営業許可」の申請

3

施設検査(申請後1週間程度)

保健所による営業所の構造・設備検査

4

許可証交付(検査後3〜5営業日)

飲食店営業許可証の交付、営業開始

※広告出稿などを検討している場合、営業許可証が無いと契約ができない場合もあるので早めに申請を行うことをお勧めします。

食品衛生責任者について

飲食店営業では、営業所ごとに食品衛生責任者を配置することが義務付けられています。

食品衛生責任者になるための資格

  • 以下の資格保有者は講習免除:
    調理師、栄養士、製菓衛生士、船舶料理士、食鳥処理衛生管理者、食品衛生管理者
  • 「食品衛生責任者養成講習」を修了した者
    ◆講習例:社団法人・東京都食品衛生協会(東京都)が主催する1日講習
    ◆講習例:社団法人・埼玉県食品衛生協会(埼玉県)が主催する1日講習

※食品衛生責任者の講習は1日で終わるので取得は簡単ですが、開催日程が決まっているので事前に講習を済ませておくことが安心です。

食品衛生責任者が交代した場合は、新たに食品衛生責任者になる方の資格を証明できるものを添付し「食品衛生責任者変更届」を提出します。

変更届について

申請事項に変更があった場合は、営業許可書を添えて変更日から10日以内に「変更届」を提出する必要があります。

変更内容 添付書類
個人:婚姻、離婚による「改姓」 戸籍謄本又は抄本
個人:住所の変更 不要
法人:商号、代表者の変更 登記事項証明書
法人:本店所在地の変更 登記事項証明書
営業所名称の変更 不要
食品衛生責任者の変更 資格を証明する書類
営業施設・設備の一部変更 変更後の営業所平面図及び営業設備の大要

※法人の組織形態の変更、営業施設・設備の大幅な変更については、変更の程度・状況により、一度「廃業届」を提出した後、改めて新規の営業許可が必要になる場合があります。

当事務所のサポート料金

飲食店営業許可申請手続

お客様にて図面等の記入をいただく場合
別途、行政機関の手数料が必要です(16,000〜18,000円程度)

22,000円

(税込)

飲食店営業許可申請手続【フルサポート】

当社にて図面等の記入を行い事前チェックを行います
別途、行政機関の手数料が必要です(16,000〜18,000円程度)

66,000円

(税込)

飲食店営業許可申請手続+防火管理者選任届

お客様にて図面等の記入をいただく場合
別途、行政機関の手数料が必要です(16,000〜18,000円程度)

55,000円

(税込)

飲食店営業許可申請手続+防火管理者選任届【フルサポート】

当社にて図面等の記入を行い事前チェックを行います
別途、行政機関の手数料が必要です(16,000〜18,000円程度)

143,000円

(税込)

2025年度の主な変更点・注意事項

  • HACCPに沿った衛生管理計画の作成・実施が義務化
  • 営業許可制度の見直しにより、一部業態の許可区分が変更
  • 営業届出制度の創設(許可不要な業種も届出が必要)
  • 食品リコール情報の報告義務化

まとめ

飲食店営業許可は、食品衛生法に基づく重要な許可制度です。設備要件の確認、必要書類の準備、食品衛生責任者の配置など、開業前に準備すべき事項は多岐にわたります。

特に2021年6月の食品衛生法改正により、HACCPに沿った衛生管理が義務化されたことで、より高度な衛生管理が求められるようになりました。当事務所では、許可申請だけでなく、HACCP導入のサポートも行っております。

スムーズな開業のためには、早めの準備と専門家のサポートが重要です。飲食店開業をご検討の方は、ぜひ一度ご相談ください。