深夜酒類提供飲食店営業の届出|バー・居酒屋の深夜営業完全ガイド
深夜酒類提供飲食店とは、深夜0時から午前6時までの間に主に酒類を提供する飲食店のことを指します。例えば、ガールズバー、スポーツバー、居酒屋などが該当します。これらの店舗は、通常の飲食店営業許可に加えて、深夜酒類提供飲食店営業の届出が必要です。風営法に基づく届出制度により、適正な営業が求められています。
深夜酒類提供飲食店とは
届出が必要な業態
業態 | 深夜酒類提供届出 | 風俗営業許可 | 備考 |
---|---|---|---|
バー・スポーツバー | 必要 | 不要 | 接待行為なし |
ガールズバー | 必要 | 不要 | カウンター越しの接客のみ |
深夜営業の居酒屋 | 必要 | 不要 | 主に酒類提供の場合 |
スナック・キャバクラ | 不要 | 必要 | 接待行為あり(1号営業) |
深夜のラーメン店 | 不要 | 不要 | 主に飲食提供 |
※営業時間の制限はないため、24時間営業も可能です。
重要な注意事項
- ⚠ 店の従業員による接待行為(お酌、同席、カラオケデュエット等)は禁止
- ⚠ 接待行為を行う場合は風俗営業許可(1号営業)が必要
- ⚠ 深夜営業のラーメン店等で酒類が副次的な場合は届出不要
- ⚠ 営業可能地域に制限があります(用途地域による)
許可取得の3つの要件
深夜酒類提供飲食店の許可を取得するためには、次の3つの要件を満たしていることが必要です。
1. 接待行為の禁止
- 禁止される接待行為の例:
- ・お客様のお酒をお酌する
- ・お客様と同席して談笑する
- ・カラオケを一緒に歌う(デュエット)
- ・ダンスを一緒に踊る
- ・お客様の体に触れるサービス
2. 地域要件(営業ができない地域)
- 住居専用地域:第一種・第二種低層住居専用地域、第一種・第二種中高層住居専用地域
- 住居地域:第一種・第二種住居地域(条例により制限される場合あり)
- その他制限地域:学校、病院、保育所等の保護対象施設から一定距離内
3. 設備要件(店内の構造・設備規定)
- 客室の広さ:1室の床面積が9.5㎡以上(約6畳)
- 照明設備:客室内の照度が10ルクス以上を確保できること
- 見通し:客室内の見通しを妨げる設備(高さ1m以上)を設けないこと
- 防音設備:深夜営業のため、適切な防音対策が必要
法人(会社)名義の許可申請
深夜酒類提供飲食店の届出は、個人だけではなく、法人(株式会社、合同会社など)名義でも可能です。
※法人で届出をする場合、定款及び法人登記簿の事業目的の欄に、飲食店営業に関する項目(例:バー、レストラン等の飲食店の経営)の記載が必要となります。
届出に必要な書類及び図面
営業開始届出手続きの際は、下記の書類及び図面類を取得・作成し、正本及び副本を準備した後、営業所を管轄する所轄警察署の生活安全課を窓口として、各都道府県の公安委員会へ提出します。
基本書類(個人・法人共通)
- 営業開始届出書(様式書類)
- 営業の方法を記載した書類(様式書類)
- 住民票の写し
※本籍及び筆頭者の記載があるもの。外国人の方は記載の省略がないもの - 営業者が外国人の場合は、在留カード又は特別永住者証明書のコピー
- 営業所の使用について権原を有することを疎明する書類
※賃貸借契約書のコピー(全ページ、重要事項説明書も含む)
※使用承諾書(建物登記簿上の所有者から署名・捺印) - 営業所物件の「建物登記事項証明書(建物登記簿)」
- 「飲食店営業許可書」のコピー
※都道府県により許可申請書(受領済み)でも可能 - メニュー表、料金表
※料金、品目、値段を明確に記載
法人申請の場合の追加書類
- 法人登記事項証明書(会社登記簿)
- 定款のコピー及び定款認証書
- 役員全員(監査役含む)の住民票の写し
※本籍及び筆頭者の記載があるもの。外国人の方は記載の省略がないもの - 役員が外国人の場合は、在留カード又は特別永住者証明書のコピー
図面類
- 営業所平面図
※客室、調理場の位置、備品の配置など営業所全体の概要を表す - 営業所求積図
※営業所全体の面積を表す - 客室その他の求積図
※客室、調理場その他部分の面積を表す - 照明・音響設備図
※照明設備、音響設備の種類・配置を表す - 防音設備図
※天井、壁、床の防音設備概要を表す - 各階平面図
※ビル等に営業所がある場合は、1階部分及び営業所があるフロア部分の概要を表す - 建物概要図
※ビル等に営業所がある場合は、各階のテナントの入居状況の概要を表す - 営業所周囲の略図
※営業所の周囲100メートル範囲内の地図を作成し、用途地域及び保護対象施設との位置関係を表す
飲食店営業許可との関係
飲食店営業許可を取得している必要があります
深夜酒類提供飲食店では、お酒やその他の飲食物を提供するため、「飲食店営業許可」を取得する必要があります。飲食店営業許可は、営業所を管轄する保健所(食品衛生課)に申請します。
※飲食店営業許可の申請は、深夜酒類提供飲食店の届出前に行う必要があります。
申請手続きの流れ
飲食店営業許可の申請
営業所の所在地を管轄する保健所・食品衛生課に申請
保健所の検査(1週間程度)
保健所による営業所の構造・設備検査を受ける
飲食店営業許可取得
検査合格後、営業許可証の交付
深夜酒類提供の届出
警察署・生活安全課に「営業開始届出書」を提出
営業開始(届出から10日後)
「営業開始届出書」の受理日から10日後より営業可能
※広告出稿などを検討している場合、営業許可証が無いと契約ができない場合もあるので早めに申請を行うことをお勧めします。
営業上の義務、その他注意点
深夜酒類提供飲食店の営業は風俗営業とならないように注意が必要となります。
従業者名簿の備付け義務
- 記載事項:氏名、住所、生年月日、採用年月日、退職年月日等
- 保存期間:退職後3年間
- 罰則:違反した場合は100万円以下の罰金
深夜遊興の禁止
深夜酒類提供飲食店では、ショーパブやライブバーのように、歌やダンスの歌謡ショーやギターやピアノなどの楽器の生演奏をお客に観賞させるサービスは可能ですが、時間に制限があり午前0時までと定められています。
営業の承継禁止
深夜酒類提供飲食店の営業は「相続」、「法人の合併・分割」、「個人営業から法人営業への移行」のいずれの場合でも、営業の他者への承継・譲渡は認められません。
開業後の変更手続き
変更内容 | 提出期限 | 備考 |
---|---|---|
個人の氏名、住所の変更 | 10日以内 | 変更届の提出 |
営業所の名称の変更 | 10日以内 | 変更届の提出 |
営業所の構造・設備の変更 | 10日以内 | 図面の添付必要 |
法人の名称、所在地、代表者及び役員の変更 | 20日以内 | 登記事項証明書添付 |
※壁紙の張替え、ソファーの張替え、カラオケ機の変更、その他破損箇所の原状回復修繕などは変更届は必要ありません。
営業上の禁止行為
- 客引き行為:路上での客引き、つきまとい行為の禁止
- 年少者の就業制限:午後10時〜翌日の出まで18歳未満の者を接客業務に従事させることの禁止
- 年少者の立入制限:午後10時〜翌日の出まで18歳未満の者を客として立入らせることの禁止(保護者同伴を除く)
- 未成年者への提供禁止:20歳未満の者への酒類・たばこの提供禁止
営業を廃止したとき
深夜酒類提供飲食店の営業を廃止した場合、廃業日から10日以内に公安委員会に対し「廃止届出書」を提出する必要があります。飲食店営業許可も同様に、営業許可書を添えて「廃業届」を管轄保健所に提出します。
2025年の法改正・注意事項
- ✔ 成人年齢引き下げ後も、酒類提供は20歳以上が対象
- ✔ 外国人従業者の在留資格確認が厳格化
- ✔ 防犯カメラ設置の推奨(一部地域では義務化)
- ✔ 感染症対策の継続(換気設備、消毒設備等)
当事務所のサポート料金
深夜酒類提供飲食店の開始届出手続き
お客様にて図面等の記入をいただく場合
※飲食店営業許可は別途必要です
(税込)
深夜酒類提供飲食店の開始届出手続き【フルサポート】
当社にて図面等の記入を行い事前チェックを行います
※飲食店営業許可は別途必要です
(税込)
飲食店営業許可+深夜酒類提供届出【セットプラン】
飲食店営業許可から深夜届出まで一括サポート
別途、行政機関の手数料(16,000〜18,000円程度)が必要
(税込)
変更届・廃止届の手続き
営業内容変更、廃業時の届出サポート
(税込)
まとめ
深夜酒類提供飲食店営業は、深夜の時間帯に酒類を主として提供する飲食店に必要な届出です。風俗営業とは異なり届出制ですが、接待行為の禁止、地域要件、設備要件など、様々な規制があります。
特に注意すべき点は、飲食店営業許可の取得が前提となること、そして接待行為を行わないことです。ガールズバーなどでは、カウンター越しの接客は可能ですが、お客様と同席したり、お酌をしたりすることはできません。
当事務所では、飲食店営業許可の取得から深夜酒類提供飲食店の届出まで、トータルでサポートしております。図面作成や書類準備など、煩雑な手続きを代行し、スムーズな開業をお手伝いいたします。深夜営業をご検討の方は、ぜひ一度ご相談ください。